社会の電化・モバイル化が進む中バッテリーの使用される領域・量は拡大の一途をたどっており、EV(電気自動車)のように大容量での用途も少なくありません。
現在はリチウムイオン電池が主流ですが、温度の性能への影響が大きく、基本的に性能は周囲温度25℃を想定されています。
リチウムイオン電池は温度が低下すると内部抵抗が上昇し、容量が低下し電池寿命にも影響を与えます。
温度が5℃以下では、ほとんどのリチウムイオン電池は急速充電ができず、無理に行おうとするとリチウム金属の電析が起こり急激な劣化が起こる場合があります。
さらに0℃を切ると、内部の化学反応が遅すぎるため、動かさずともバッテリーの充電が失われていきます。
バッテリーは連続して使用すると環境要因とは別に温度上昇が起きます。
高温状態の電池は性能や寿命の低下を引き起こしますが、それだけでなく製品本体の電子回路や内部配線の絶縁劣化を引き起こす原因となり、異常発熱による発煙や発火、本体の変形などの不具合につながります。
リチウムイオン電池の最高許容周囲温度は45℃と規定されています。
電池の温度が70℃を超えてくると熱暴走が発生する可能性があります。熱暴走とは、高熱になった部材が隣接する他の部材の発熱を引き起こしながら温度上昇が続く、内部の自己発熱連鎖反応のことで、こうなるとバッテリー全体、場合によってはその周囲も破損して使い物にならなくなります。
このようにバッテリーの温度を管理し、できる限り適正温度域に保つことは、本来もつ性能を発揮し安全に電子製品を使用するのに非常に重要なポイントです。
冷却システムとして空冷や水冷等が組み込まれていることがほとんどですが、あくまで上がった温度を下げるシステムであり、一定の温度に保とうとするには別途温度制御が必要になります。潜熱蓄熱材は一定温度に保つのに向いている材料なので、冷却システムと組み合わせることで、より効率の良い温度管理ができるかもしれません。