相変化、すなわち物質の状態(気体・液体・固体)が変化するのに必要な熱エネルギーを利用した蓄熱技術。
例えば水蒸気⇔水⇔氷のような状態の変化が相変化であり、この時水が水蒸気になる温度(沸点)や水が氷になる温度(凝固点)はそれぞれ100℃、0℃で一定のままになります。
これは相変化に熱エネルギーが使用されているためで、相変化に必要な熱エネルギーの総量を潜熱と呼びます。
潜熱は顕熱に比べ蓄熱密度が高く、また相変化している間一定の温度に保たれることから特定の温度域での保温に向いています。
代表例としては水やパラフィン、無機塩などがあり、多くの場合液体⇔固体の融解熱・凝固熱を利用しています。
エコジュールは、相変化(phase change)を利用する材料(material)、
潜熱蓄熱材(Phase Change Materials)PCMです。
物質が状態変化(例えば氷(固体)⇔ 水(液体))する際に、吸収または放出する熱量を「潜熱」といいます。蓄熱材は「潜熱」を利用し、指定した温度での保持を可能とします。
液体から固体への状態変化の際は熱を放出し、外気温が低い温度の中で5℃~40℃に保つことができます。
容器内温度は外気温と同じ30℃に。
状態変化する際に周りの熱を吸収して外気の温度を物質の融点に保つ。
上記の内容をグラフで表すとこのようになります。
項目 | 単位 | 商品名 | 荷姿 | |
---|---|---|---|---|
EJ005T | EJ020 | ゲルパック | ||
融点 | ℃ | 5.1 | 21.6 | |
引火点 (Seta.C式) |
℃ | 122 | 162 | |
密度 | g/cm3 | 0.870 | 0.875 | |
消防法 | 指定可燃物 可燃性固体類 |
項目 | 単位 | 商品名 | 荷姿 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
TS4 | TS5 | TS6 | TS8 | ドラム | ||
融点 | ℃ | 4.1 | 9.0 | 16.7 | 26.4 | |
引火点 (COC式) |
℃ | 118 | 131 | 139 | 158 | |
密度 | g/cm3 | 0.766 | 0.773 | 0.777 | 0.786 | |
消防法 | 危険物第4類 第3石油類 |
※上記は代表値であり、保証値ではありません。改良等により予告なく変更することがありますのでご了承ください。
※5℃~40℃の範囲で特定の温度に調整可能です。
エコジュールは、パラフィン系潜熱蓄熱技術の特長を最大限に活用できるように設計した蓄熱材で、以下のような特徴があります。
①生活温度領域(5~40℃)の任意の温度で蓄熱が出来る。
原材料であるパラフィンは炭素数により固有の融点を持っているので、異なる融点のパラフィンをブレンドすることにより、任意の温度の融点を得ることができます。
②狭い動作温度域で高い蓄熱量を有する。
エコジュールは特定の狭い温度帯で融解・凝固を繰返し、安定した性能を維持できます。
③非危険物(可燃性固体)である。
エコジュールは、パラフィンを特殊な方法でゲル化しており、融点を超えても液状にならず非危険物として扱うことができます。
一部のパラフィンは危険物に属し、一定数量以上扱う場合は消防の許可が必要になりますが、エコジュールは木材等と同じの可燃性固体に属する為、取扱量3,000kg以上の場合でも、届出だけで対応が可能です。
④成型加工性に優れる。
常温では③にあるように固体で形状を保っていますが、80℃以上に加温することで溶融するため、様々な容器に充填することができます。
⑤安定性能を長期間保持できる。
原材料のパラフィンは化学的に安定な為、酸や塩基に対しても不活性で長期に渡り安定して性能を発揮できます。
CO2削減や省エネルギーを推進していく為には、エネルギーの使用量を減らすだけでなく、生み出したエネルギーを繰り返し活用することが重要であり、蓄熱技術は熱エネルギーを繰り返し使用することでこれらに貢献できます。
特にエコジュールは生活環境に近い温度帯での蓄熱が可能であるため、自然の熱エネルギーを利用する、あるいは快適な温度環境に保つといった用途に活かすことができます。
上記用途に限らず、様々な分野・用途への展開を検討しますので、お気軽にお問い合わせください。